2010年のベスト (2/2)

 ということで,2010年のベスト,後半です。



[印刷物部門]
 
科学と神秘のあいだ(菊池 誠,双書Zero)
科学と神秘のあいだ このBLOGでも紹介したことのあるきくちさん(阪大)のエッセイ集。 物理学者の書いたエッセイというだけで大半の人は逃げて行っちゃうのかもしれませんが,難しいところはなく,そもそも物理の話でもなく,きわめて読みやすいエッセイが並んでいます。
 ところで,全然関係ないことですが,僕は多くの人から,冷静・冷ややか・理屈っぽいなどと言われたりします。 そうした評価には,まあシチュエーションにも依りますが,概ねネガティヴなニュアンスが込められているようです。 端的に言えば「人間味がない」ってヤツでしょうね。 こういうのは周りから見てどうなのか?というのが重要で,自分から「いや,オレは人間味にあふれている!!」などと力んでみてもしょうがないわけなので(っつーか,そんなことを自分で言うヤツがいたら,あんまり関わりたくないかも (^^;),まあ,みんなが言うなら多分そのとおりなんだろうなと思ったりします。 ……で,きくちさんに面識があるわけではないので,どういう方なのかは知らないし,勝手に同類にされてもハタメーワクなだけでしょうが,物理学なんかやってる人となると,同じような方向の先入観を持たれそうだな……という気がしたりします(←僕の偏見かもしれませんが,たぶん,そうでもないでしょう)。 いわく,「世の中,リクツだけじゃないんだよ!」ってなわけです。 またまた同列に扱うのもなんですが,僕にしろ,物理学者の人にしろ,多かれ少なかれ「(いわゆる)人間的」な部分はあるし,いろんな感情も持っている。 というか,科学者の「(いわゆる)リクツ」に代表される科学的な見方・考え方は,むしろ訓練によって身に着けてきている部分も大きいと思います。 この本は,そのような多少なりとも偏見にまみれた「リクツ」の部分と,それでは割り切れない「感情」の部分を,科学者と言われる人たちがどのように折り合いをつけて日々を過ごしているのか? ……そういったところを垣間見せてくれる興味深い文章が並んでいます。 軽い読み物だし,しかも一読の価値アリと思います。
 この本については「科学と生活のイーハトーヴ」の秀逸なレビューがあるので,そちらもご覧ください。

代替医療のトリック(サイモン・シン, エツァート・エルンスト,新潮社)
代替医療のトリック 上の「科学と神秘のあいだ」とは違って,お手軽に読めるとは言いがたいんですが,一般向けとしては若干とっつきにくいかも知れない……という程度で,あくまで一般向けとして十分分かりやすく書かれています。
 この本は今後「代替医療」を考えるときに,まず押さえておきたい「リファレンス」みたいなものになるのではないかと思います。 代替医療に興味あるかたは,まずは一読をオススメします。
 世の中,妙なものを勧めてくる人は多いし,それらの中には,本当に「よかれ」と思ってそれを勧めてくる場合も少なくありません。 もちろん,「善意で勧めている」ことが必ずしも免罪符にはならない。 むしろ,善意で勧めていることが分かるだけに,断りにくいなんてこともあります。 こと「代替医療」に関する限り,この本を読んでおくことは,そういったものに対処するときの基本的な態度を作るうえで役に立つのではないかと思います。 お手軽ではないなどと脅かしといてなんですが,興味ある人はもちろん,(僕の本音では→)普段こういう本を読まない人にこそ,ぜひ読んでほしい1冊です。

 
[映画部門]
 
(次点) キック・アス
Kick-Ass 去年は映画自体あんまり観なかったのでした。 で,観た中ではこれですね。 ヒロインのあまりにカッコイイアクションシーンが語り草になっているようですが,そういうこと以前に,とにかく話の着想の時点で「ワザアリ」なわけで,失笑モノのギャグや無駄にグロいシーンなども交えつつ,でも,一人の少年の成長譚として良くできていると思いました。 かつて変身ヒーローものに心熱くしたことがある人なら,見て損はない映画でしょう。

 
[BLOG記事部門]
 
「井上俊彦のメディカル・イーティング」に学ぶ情報商材のノウハウNATROMの日記
 2010年もネット上の文章をたくさん読みましたが,上で書いた本,それから他に読んだいくつかの本を加えて考えても,この記事,というより,この記事の最後の「まとめ」の,特に最後の段落は,去年一番強く印象に残った文章かも。 まだ読んでないかたは,ぜひ一読をお勧めします。
 


[(番外) 2010年のワースト]
 2010年もミュージシャンの訃報があれこれありましたが,その中でも,個人的に最もショッキングだったのは,Little Feat のドラマー Richie Hayward の訃報でした。
 以前も書きましたが,Little Feat の再結成後の来日公演は,僕のこれまでのベストライヴの1つです。 強者揃いのメンバーの演奏は期待を遙かに上回るものでしたが,その中でも,Richie Hayward が見せるその時々の閃きと,それを強引なまでのノリで体現して聴き手をねじ伏せる強力さは圧巻でした。 僕はそれなりにいろんな有名ミュージシャンのライヴを観てきましたが,ナマで観たドラマーの中で「天才」という言葉に最も近いのはこの人だろうと思っています。 合掌。
 ちなみに,Little Feat は,女性voの Shaun Murphy も 2009年に脱退しており,既に新drを加えて活動を続けているようです。

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2010年のベスト (1/2)

 なんと,またしても思いっきり間が空いて,おとその時期を逃したばかりか,未曾有の大災害まで起こってしまいました。 メールをくれたみなさま,話題にしてくれた大学時代の友人・先輩のみなさま,ありがとうございました。
 
 何事もなく……というのはさすがに言いすぎですが,少なくとも,このサイトはいつもどおり淡々と(のろのろと)文字数を増やしていこうと思います。 で,恒例(?)の去年のベストです。 テキトーに書き散らかしていた下書きが残っていてホントによかった。 まずは前半,音楽関係です。 もう秋ですが,例によって,おとそ気分で読んでください。
 
 
[CD部門]
 
Karel Boehlee Trio "BEST MASTER QUARITIES"
Karel Boehlee Trio 2009年の Louis Van Dijk Trio に続いて,ヨーロピアンなピアノトリオです。 とにかく聴いてウットリ,エレガントなひとときを過ごしたい人には最高!じゃないでしょうか。 アメリカ系のジャズピアノによくあるスイング感が立ったものとは違って,抑制の効いたリズムを伴いつつ,ひたすら美しい演奏が続きます。
 去年はなぜか,ときに4ビートのスイング感さえも邪魔くさく感じられたりして,癒しのひとときを求めてこれを度々聴いてました。 ……こういう紹介の仕方をすると,ピアノばっかりというように取られるかも知れませんが,これがさにあらず。 ベースの演奏にもかなりの比重がおかれていて,これもなかなかです。

Fourplay "Let's Touch The Sky"
Fourplay ギターが Larry Carlton から Chuck Loeb に替わり,ジャズ的なスリルを増した快作。
 新加入の Chuck Loeb ももちろん素晴らしいですが,加えて Bob James。 Chuck Loeb の加入に影響されてか,少なくとも僕にとっては,イメージの中にある本来の Bob James の演奏に近づいたような気がします。 大歓迎です。
 曲にも演奏にもややハードな場面が増えたので,イージーリスニング的というか smooth jazz的な聴きやすさは,そのぶん後退しています。 ということは,もしかしたら一般的な人気も後退するのかも知れないけれど,個人的には,このように随所にピリッとしたところがあるほうが好きだったりします。 次もこの路線で突き進んでほしいですね。

 
[ライヴ部門]
 
◎ Paris Match at Billboard Live Tokyo
 Paris Matchデビュー10周年ということで,豪華ミュージシャンを引き連れてのライヴ。 さすがに見応えありました。 特に,松原正樹さんのプレイには(妙な言い方かもしれませんが)改めて惚れ直した…って感じです。 Paris Matchは,続くライヴも見たんですが,率直に言って,やはりベテランミュージシャンたちが作る音は一味もふた味も違いました。 ……そうそう,新譜もよかったですね。
 
○ 畠山美由紀 at キリスト品川教会 GLORIA CHAPEL
 僕には珍しく日本人が続きます。 去年のマイブームの勢いで聴きに行ったんですが,とにかくレパートリーの幅が広くて,何の曲をやりだすのかまるで見当がつかない。 しかも,何を歌ってもウマイ!というわけで,ホントにスゴイ人でした。
 
○ Annekei at Blues Alley Japan
 ライヴアルバムも出たので,そちらを聴いても(ある程度は)わかると思うんですが,この人,ライヴで聴いてもマジでウマイです。 こういう軽めのポップス系の歌い手って,なぜか,生の演奏に接するとちょっとガッカリみたいなパターンが多いようなイメージがあったんですが,そういう先入観をいい意味で裏切ってくれます。
 加えて,Dimension人脈(?)による演奏も見事でした。 2009年に観に行ったときは,drにもうちょっとだけ繊細感があれば……などと思ったんですが,今回はそういう点も払拭された感じで(ステージ上のやり取りから察するに,リハに使った時間はむしろ今回のほうが少なかったっぽいんですが,そこはさすがに則竹さんってことでしょうか),歌も演奏も素晴らしい!と言えるものでした。 ただ,人気出てきたということかもしれませんが,ついに入れ替え制になってしまったのは,ちょっと残念。
 



ということで,次回は音楽以外についてです。

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人柱@ "AJA" SACD版

ということで,今回はかなりマニアックな話題です。
 
Aja_2 ちょっと前の話ですが,Steely Dan の代表作と一般に言われている(個人的には "THE ROYAL SCAM" 以降の3作はどれも甲乙つけがたいんですが) "AJA" が日本側の特別企画で SACD化されました。 で,何の迷いか勢いか,Incognitoの新譜と一緒にポチッとな してしまったのでした。
 
 おそらく,このSACDに関しては気になっている人も多いでしょう。 気になりつつも,あまりの値段設定に(¥4,500はいくらなんでも……。 よほどのファンか,僕のように一時の気の迷いでもないかぎり,なかなか購入には踏み切れないと思います)様子見している人も多いでしょう。 そこで,にわかに人柱と化した僕がレポートしようと思います。
 
 まず,今回のSACD化のポイントの1つは,日本側のアナログマスターを使用して日本側でリマスターしたということで,

  • 本国のオリジナルマスター使用ではない点
  • Steely Dan本人たちの関与がない点
あたりを気にしている人もいるのではないかと思います。 しかし,これらはある意味,気にしてもしょうがない部分なのでしょう。 2000年の "Remastered by the artist" 版が出た時点で,既に本人たちのコメントから "Black Cow" と"Aja" の2曲のオリジナルマスターテープが紛失していることが明かされているわけで,日本側アナログマスターが一概に悪いとは言い切れないです。 また,RHINOやMoFiといった再発メーカーの仕事ぶりを見れば,アーティスト本人が関与していなくても良い結果が出る場合も十分あると言えます。 とまあ,買うなら,そこらへんはひとまず納得ずくで買うべきでしょう。
 
 装丁は限定版紙ジャケットなんですが,……ハッキリ言って,どこにディスクが入っているのか分からん! もとの LPもダブルジャケットでしたが,このSACD版はもっと複雑になっていて,LP版に忠実と言うわけでもないし,内側の復刻は省略されてるし,いったい何をしたかったのかワケが分かりません。 そりゃまあ,普通のプラケースにしたからといって急に¥2,000円になったりはしないんでしょうが,こんなところに凝るよりはちょっとでも安くしたほうが……と嫌味の1つも言いたくなってしまいます。 とはいえ,この辺は枝葉末節なので,すごく気になったりはしませんが。
 
 で,盤をようやく探し出して,再生です。 なお,僕のオーディオ機器は学生時代にバイトして買ったものがメインで,決して最新のものではありません(というか,かなりの年代モノです)。 ただし,SACDプレーヤーは DENONの比較的新しい機種です。SACDというと,一般には「より繊細感が増す」というような感じで語られることが多いようですが,僕のセットで再生すると,むしろ骨太感が増すような感じがする場合が多いです。 繊細感ではなく,音の存在感・実在感が増す方向というか……。 それから,住環境が貧弱なので大音量での再生は不可で,LOUDNESSスイッチ常時ONみたいな状態にしないとまともなバランスでは聴けません。 以下の感想は,こういう再生環境で僕が聴いた,全く個人的な感想であることを割り引いて読んでください。
 
 一聴してすぐに分かるのは中低域が強く分厚い音ということです。 高域側はやや抑え気味で,わりとハイハットが引っ込んでいる曲が多いです(昔のLPって,そんな感じでしたね)。ただし, 時々シンバルの音がかなりリアルな場面がありますから,全面的に高域側が落とされているわけではないようです。 Rick Marotta が自慢げに語っている有名な "Peg" でのハイハットワークなんかも,かなり見事にきこえます。 解説でもスネアやベースの沈み込みが深くなっていることが述べられていますが,確かに,ズシッとくる中低域はこれまでの CD版とは全く違う手応えで,重心がグッと低くなったリズムセクション(特に,やはりベースとスネア)はとても魅力的です。
 全体に残響の少ない,ドライかつ生々しい音で,それぞれの楽器の音に厚みがあります。 定位もさすがに悪くないけど,ピンポイントと言うよりももう少し分厚い定位感というところでしょうか。 2000年のリマスター版CDと比べると,中低域の実在感・厚みはSACD版の圧勝でしょう。 Donald Fagen の声も,より前に出てくる感じがします。
 
 しかし,その一方で,音のシャープさ・キレといった面では,疑問符が付きます。 ちょっとモッサリした音とでも言うのか,ギターのカッティングなどのシャキッとした感じやアタック感は薄まっているし,シンセなんかのスピーディな音はちょっとキビシイように思いました。 表題曲のハイライトシーンである Wayne Shorter の sax と Steve Gadd のドラムが交錯する場面も分離がいまひとつで,CD版に慣れた耳にはもうひとつ盛り上がりきれないのも残念。 また,これは人によって意見が分かれるところでしょうが,音楽全体を通した微妙なバランスという点で,2000年リマスター版の方が優れているようにも思えます。 ハイハットが抑えられている中で急にシンバルの高音が前面に出てきたりしてちょっと違和感を持つ場面があったり,ドライすぎてもう少し残響感が欲しくなったりもします。 濃厚なぶん,開放感は抑え気味 ……もっとも,この辺は高級オーディオでちゃんとした音量で聴くと違うのかもしれませんが。
 と言って,じゃあ大して良くないのかというと,これがさにあらず。 これを聴いた後,試しに2000年リマスター版CDに切り替えると,各楽器の音が急に細くなったと感じられて,物足りない気分にさせられたりします。
 
 というわけで,なんだか悩ましいヤツが登場したという感じですね。 とにかく,良し悪しを抜きにして,2000年リマスター版とは別モノの音です。 総合的にはアナログディスク的な音という感じで,特徴を一言で言うなら,記憶の中のLP版の音のイメージに近い……と言えるでしょう。 LPの音が刷り込まれていて,それ以外の音だと「違う」と感じてしまう人とか(←これは良し悪しの問題ではないです。 好みと言うのはそういうものでしょう。 …念のため),とにかく中低域の充実感重視というかたには,今回のSACDは試す価値大です。 しかし,上で書いたとおり,2000年リマスター版のほうが優れている面も多々あるように思います。 僕個人としては,各楽器の厚み・低域側の素晴らしさに心惹かれつつも,トータルでは 2000年リマスター版の(トータルの音楽表現としての)バランスの良さに軍配を上げる……かな(←なにしろ別物なので,結構難しい選択なのです)。 2000年リマスター >(僅差で)今回のSACD >>(越えられない壁)>> それ以前の通常版CD という感じでしょうか。 特に,初めて "AJA" を聴く人は,2000年リマスターを聴くほうがいいように思います。 このSACDはあくまでその魅力を知っているマニア用という気がします(まあ,値段もマニア用ですから,その意味では合っているわけですね)。
 
 
 ということで,人柱報告でした。 まとめると,試す価値はあるけれど過度な期待は禁物,というところでしょうか。 僕自身はそれほど後悔してませんが,とはいえ,勢いのついてない状態で冷静に「¥4,500払うか?」と問いかけられたら考え込んじゃう(というか,買わないかな?)と思います。(^^;
 
 ……そうそう,SACDはほとんどの場合CDとのハイブリッド盤ですが,今回のは SACD信号のみ,CDのシグナルは入ってません。 SACD再生環境が必須です……念のため。

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2009年のベスト (1/2)

え〜,みなさま,あけましておめでとうございました。
新年にしては途中にミョーに蒸し暑い日が続きましたが,気にせず,初春気分で再開です。(^^;;;;;
 
 今年のライヴは4回。 既に全て終了しました…新年なのに(しつこい)。 で,どうやらちょっと落ち着いてきたので,セッションなどで人が足りないかた,へたくそでもよければ(←ココ重要)声をかけてやってください。
 
 さて,この間に,はやぶさが奇跡的に帰ってきて,いきなり大フィーバー(死語)ということもあったわけですが,ひとまず,去年の年末に書きかけたまま放置されていた「2009年のベスト」を,なかば書きかけのまま,お送りします(さすがに本人も忘れている部分が多いんですが,書きかけ原稿があったのでお送りできる,というわけです)。 ……くれぐれも,おとそ気分でお読みください。(^^;
 例によって2回に分けます。 今回は音楽関係です。
 
 



 
[CD部門]
 
畠山美由紀 "wild & gentle"
Wild_and_gentle 去年は,ベスト盤的なアルバム "CHRONICLE 2001-2009" が出たのをきっかけに,突如,畠山美由紀がマイブームになったのでした。 で,一番よく聴いたのが, "CHRONICLE 2001-2009" ではなく,むしろ旧作の "wild & gentle" だった……というわけです。 買ったのはずっと前だというのに,買った当時はそれほど聴かず,今頃になって聴きまくってしまうとは……我ながら,好みの変化というのは面白いもんです。 「オーガニックな」という形容はあまり好きではないんですが,うまい言葉が見つからないので,とりあえずそう表現しておきます。 アコースティックな楽器を基本に,ときにエレキギターなどを使っても,自然で等身大な雰囲気を失いません。 静かな曲ももちろんいいけれど,個人的には時折出てくるアップテンポの曲にも強く惹かれます。

 
Louis Van Dijk Trio "GONE WITH THE WIND"
Louis_van_dijk_trio 打って変わって,こちらはヨーロピアンなピアノトリオです。 ある意味よくできたイージーリスニング的な趣もあり,ゆったり優雅な「くつろぎのひととき」を演出するには最高!って感じです。 同じヨーロッパ系といっても,音の傾向として,2008年のベストで挙げた Marcin Wasilewski Trio "January" が寒色系とするなら,こちらは暖色系で,好対照です。
 これまた,少し前の僕ならこういうのを気に入ったかどうかアヤシイもんですが,去年はなぜかハマってしまいました。 普段ジャズなんか聴かない人にも,とっつきやすい作品と思います。

 
 
[ライヴ部門]
 
○Swing Out Sister(at Billboard Live Tokyo)
 去年のベスト・ライヴを1つ選ぶ…というと,Swing Out Sisterかな,と思います。 前年の秋ごろのイギリスでのツアーから続いた流れでアンプラグドに近い形式のライヴでしたが,このことがプラスに出て,どの曲も鮮度の高い演奏でした。 体調の関係でツアーから遠ざかっていた Andy も復帰して,久々に,レコーディングとはぜんぜん違う演奏をしてしまう Swing Out Sister のライヴを満喫したような気分でした。
 とはいえ,アンコールで,「東急ハンズで買ってきた」といってフラフープを披露したのには参りましたが……(^^;。 拍手する以外どうしろっていうんだ!?(^^;;

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Basia at Blue Note Tokyo

 本当にひさびさに活動再開した Basia のライヴを観にいきました(Blue Note Tokyo)。
 
 新譜 "IT’S THAT GIRL AGAIN" 発表に合わせたツアーの一環ということですが,フロントは Basia 本人と2人の女性コーラス,バックは Danny White の key にgと tp を加えた3人で,bは曲によってgが兼任,tpの人はソロのとき以外は perc を演奏(更にときどきコーラスも)……ということで,かなり小編成・小音量という感じの編成でした。 僕はラッキーなことに客席のほぼど真ん中の位置に座ることができました。

 実は,なまBasiaを観るのは今回が初めてだったので,始めにこういうことを言ってしまうのはどうかと思うんですが,彼女がステージに上がってきたときの第一印象として,正直,ヴィジュアル面については月日の流れを感じないわけにはいきませんでした(^^;。 この点についてこれ以上のコメントは控えますが(^^;;,なにしろ Basia 名義のアルバムは,ベスト盤を除くと 1995年のライヴ盤 "BASIA ON BROADWAY" までさかのぼるわけで,それからなんと14年も経っているんですねー。 だから,まあ仕方ないことなんですが,ちょっとショッキングな現実ではありました。
 
 さて,肝心の歌のほうですが,これが(驚いたことに)かなり音程に難アリでした。 ステージが進むにつれて徐々に持ち直したんですが,それでも安定感がいまひとつという感じで,加えて,高音域は苦しそうでした。 ちなみに,Basia の以前のコンサートの模様をいくつか YouTube で観ることができますが,そこではそういう不安定感はあまり感じられず,自信に満ちたステージングが印象的です(下は 1994年のワルシャワでのコンサートから)。 ……ということで,この日たまたま不調だったのかもしれませんが,どちらかというと,これまた長すぎたブランクのせいかなと思いました。 数年前の Matt Bianco への再参加というのはあったにせよ,それも結局は1回限りのものだったし,最近出た新譜の歌声もやや衰えを感じるものだったし……,率直に言って,この点はかなり不満に感じる部分でした。

 
 ……などと悪いことばかり書くと,まるで僕が不満タラタラで会場を後にしたかのようですが,そうではありません。 実は,かなり満足度高いライヴだったんです。
 
 Basia の歌声は CD で親しんだイメージのまんまで,上で書いたような点はあるにせよ,ハーモニーパートや歌の「ここぞ」という要所はしっかり締めてました。 バックの演奏も少人数ながら不足感を感じさせることなく,tpソロなんかかなりいい感じでした。
 
 そして,(個人的には)Basia といえばなんといっても広い音域を駆使した華麗なコーラスワーク…ということで,これがライヴの場でどうなるのかが僕がいちばん楽しみにしていた部分だったんですが,それがもうホントに素晴らしいものでした。 なにしろ,Basia 含めたフロント3人で歌いだすと,こっちはもう夢中,釘付けです。 バックの音が少ない分,コーラスの響きが際立ち,おおげさな話でもなんでもなく,コーラスワークについてはスタジオ録音盤を超えてるのではないかという気分になりました。 それから,途中,コーラスの2人がそれぞれ1曲ずつリードヴォーカルをとって歌ったんですが,これがまた2人とも素晴らしくて,少なくとも僕が見たこの日については,2人とも Basia 本人を完全に凌駕していました(← ファンにとってはこれまた切ない現実なのかもしれないけど,正直,この2人にもっと歌ってほしいと思ってしまいました)。
 
 それからもう1つ,改めて印象に残ったのが「曲の良さ」です。 MC は「次の曲は ××。 こんな曲です」と言う程度で,ひたすら次々と曲を演奏し続けるという展開だったんですが,その「次々出てくる曲」というのが例外なくどれもいい曲だというのは,やはりスゴイことだと思いました。
 
 ということで,終わってみれば,いい楽曲が過不足ない演奏と素晴らしいハーモニーワークで次々演奏されて,それをド真ん中の席でゆったり聴く……という(ある意味)贅沢な時間になったのでした。
 Basia には,ぜひ今後もコンスタントに活動してほしいものです。 まだまだ,あの曲もこの曲も,ライヴで演奏してほしい曲はたくさんあるんだから。

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た,たのしい〜

 以前も紹介した「ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記」のこの記事で見た They Might Be Giants(←バンド名です)のビデオをご紹介。
 このアルバム "HERE COMES SCIENCE" については,町山さんがニューズウィーク日本語版WEBで記事を書いてるので,そちらを読むといいでしょう(下のビデオを再生する前に記事のほうを読むといいかも)。
 
They Might Be Giants "Science Is Real"

 
"Meet The Elements"

 
 こりゃ楽しい。o(^o^)o
 
They_might_be_giants YouTubeにはこのほかにも,"Put It to the Test" などいろんな曲があるようです。
 
 で,このアルバムを amazon.co.jp で見ると,これ,CD と DVD の2枚組になってて,DVDのほうでビデオバージョンが観れるようですね。 う〜む,買いたくなってきたぞ。

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2008年のベスト(2/2)

 ということで,2008年のベスト,後半戦は音楽関連と展覧会部門です。
 
[CD部門]
 
Annekei "TSUKI"
Annekei 2007年の作品なんですが,2008年に入ってからいっそう気に入ってしまったのでした。 恐らく,2008年に最もよく聴いたCDでしょう。 とにかく1曲目から清潔感あふれる美しさに,すっかりトリコです。(^^) アクがなさ過ぎて物足りない人もいるのかもしれませんが,今の僕は,こういうのがいいみたいです ……というか,2007年の Alison Krauss といい,これといい,このところ,「綺麗な音楽を,きちんと綺麗に表現する」ということに自分の関心が向かっているのを感じます。 同時に,何の反動か,アコースティックな音に嗜好の揺り戻しがきているのかな?と自己分析したりしてるのでした。

Marcin Wasilewski Trio "JANUARY"
Marcin_wasilewski_trio たまたま塔盤屋の試聴コーナーで見つけて買ったんですが,これもよく聴きました。 これまた美しい作品です。 幻想的な風景をイメージさせながら,時に自己の内面に沈み込んでいくような静かな緊張感が漂います。
 ECMやらヨーロッパのジャズやらをあまり聴いてないので,ひょっとしたらこういう方向性の作品は珍しくないのかもしれないんですが,もしそうだとしたら,そっち方面に詳しい方に,ぜひ推薦盤を教えていただきたい……と思う今日この頃です。

 
[ライヴ部門]
 
The Brand New Heavies (at Billboard Live)
 2008年はあんまりライヴに行かなかったような気がします。 もちろん,Tower Of Power の 40周年記念ライヴは素晴らしかったんですが(いつも最終日あたりには疲れが見える Larry Braggs (vo) も,今年は元気だったし),毎年 Tower ばかり挙げるのもなんなので,今年は The Brand New Heavies (BNH) を挙げときます。(でも一応書いておくと,Tower Of Powerのライヴは,だまされたと思ってでも何でもいいから,みんなぜひ1度観にいって欲しい!と思います。)
 そういうのをやるバンドをやっておきながら,N'Dea Davenport (vo) がいる BNH を観たことがなかったので,とりあえず行っとこうか……ってな感じで見に行ったんですが,……いや〜〜,やっぱり彼女が加わると違いますね。 楽しいライヴでした。
 こういうと誤解を招くかもしれないけど,N'Dea Davenportって,決して「圧倒的な歌唱力を持った歌姫」みたいな存在ではないように思うわけですが,しかし,なぜか魅力的なんですね。 なにか「高揚感」みたいなものを感じさせる存在で,目が離せない……というわけで,ずっと彼女ばかり追ってしまいました。 で,またまた暴言を吐いてしまえば,演奏面において BNH は決して「めちゃめちゃ上手い」という印象は受けないバンドなんですが,N'Dea Davenportとの組み合わせだと,いい化学反応みたいなものが起きるように思います。 このままこの組み合わせが続いてくれるといいんですが。
 
 
[展覧会部門]
 
ヴィルヘルム・ハンマースホイ展(国立西洋美術館)
 2008年に観た展覧会では,やっぱりヴィルヘルム・ハンマースホイ展が良かったな〜と思います。 これについては以前書いたので,詳しいことはそちらを見てほしいんですが,CD部門のほうで挙げた Marcin Wasilewski Trio "JANUARY" といい,ハンマースホイ展といい,2008年は大げさに言えば「静けさの中にある美」みたいなものに価値を感じた1年ではありました。
 ハンマースホイ展以外だと,フェルメール展も予想以上に楽しめました。 フェルメールについては,以前1点だけを目玉にした展覧会がありましたが,そのときはあんまりじっくり観させてもらえないやりかただったので,正直「………」という感じでした。 でも,(それが不評だったからかどうかは知りませんが)今回は点数も増えて,わりとじっくり観ることができたので,良かったですね。 ……展覧会は自分の間(ま)で観たいものです。 混雑してるときは仕方ないのかもしれないけど,「ハイハイ,立ち止まらないでください」みたいな見せかたはカンベンしてほしいですからね〜。
 
 



 ということで,2009年も楽しい出会いがあるよう,アンテナを張っていこうと思うのでした。 みなさま,今年もよろしく。

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Mylene Farmer "MYLENIUM TOUR"

Mylenium_tour 先日,なぜか突発的に Mylene Farmer(ミレーヌ・ファルメール)が聴きたくなり,ライヴDVD "MYLENIUM TOUR" を購入しました。 (ちなみに,Mylene Farmer の表記,ホントは Mylene の "l" の次の "e" の上にアクサングラーヴがつきますが,ここでは省略してます。)
 同名のCDも出てますが,買ったのはDVDのほうです。 僕が彼女を一番よく聴いていたのはもうずいぶん前の "L'autre..." の頃で,当時は,プロモーションビデオなんかの映像方面での評判も高いなんてことを聞きつつも,NTSC/PALという方式の壁に阻まれて見ることができなかった(というか,そもそも日本では入手困難だった)ということがあったので,今回買うにあたっては,この際ヴィジュアルも……と思ったわけです(しかもDVDのほうが安いし)。 ちなみに,amazon.co.jp から届いたDVDの記録方式はやっぱり PAL だったので,PAL方式対応のプレイヤーが必要ですが(NTSC でも出てるかも知れませんが調べてません),それがなくてもパソコンなら問題なく観れます。 DVD時代・ネット時代の恩恵ってところでしょうか。
 
 で,内容ですが,まずオープニングで度肝を抜かれます。 この時点でつかみはOK(客の表情が笑えます)。 Mylene Farmer ご本人は,さすがに昔のCDジャケットのイメージからすると少し時の流れを感じることもないではない(失礼)ですが,まあ,なんにしても強烈です。 amazon.co.jp のレビューによると,このツアーのときは日本公演も企画されていたのが,ステージセットが運べないのでキャンセルになったそうで,そうかもな〜〜と思わされます。
 
 まあ演出は演出として,メインは何と言ってもあの「声」です。 別世界,それも天界か妖しい魔界にでも入り込んだかのようなあの声が,ライヴの場でも完全に世界を構築して揺るぎない。 というか,あの声が出てきただけで,その瞬間に世界が変わってしまう。 驚異的です。 画面を見ていても,ホントにこの人が歌ってるのか,不思議な気分と奇妙な納得感とが交錯します。 退廃的なムードと,それと対象をなすかのような観客の熱狂。 スタジオ盤だと,妖しい空気を醸しだすサウンドと世俗的なリズムとあの「声」との組み合わせの妙で聴かせるという感じもあるんですが,このライヴの音を聴くと,なにしろ歌声が放つ世界観が圧倒的で,その支配力の強さに改めて驚かされます。 選曲も,以前のライヴ・アルバム "LIVE A BERCY" が比較的明るめの「陽」の選曲が軸だったのに対して,本作は「陰」というか,翳りのある曲が多くて,僕としてはこちらのほうが好きです(僕のイメージの中の Mylene Farmer はこちらなので)。
 
 その一方で,観ていて気になったのは,やたらと観客の反応がアップで映ること。 フランスでのライヴビデオの流儀ということなんでしょうか? あと面白いのは,いったん曲が終わった後,もう一度その曲のさわり部分を繰り返し演奏して観客に歌わせることです。 フランスのコンサートの様子を知らないので,これが一般的なことなのかどうかは分かりませんが,Mylene Farmer の曲というと,妖しいサウンドと共に,人間の内面の闇の部分に青白い光を投げかけるような歌詞も魅力だったりするわけで,そういう(どちらかと言えば暗い,というか,退廃的な)音楽が,スタジアムクラスの大会場でみんなで大声で歌ってしまうタイプのエンターテインメントとして成立しているのを見ると,さすがにお国柄の違いを感じてしまいます。 ……まあ,それ以前に,彼女のようなアーティストがトップクラスの人気を持つと言う時点で,思いっきり違うわけですが。
 
 ともあれ,ついに観た 動く Mylene Farmer に,とりあえず満足です。 来日してくれないかなー。 ……日本での知名度低すぎてキビシイか。
 
 と,映像のことを書いておいてなんですが,そもそも Mylene Farmer を知らないというかたには,まずはCDをお勧めします(ライヴDVDはどうしても演出のほうに目が行くので。 ……露出度高いし(^_^))。 個人的には初期が好きなので,僕がハマるきっかけになった "L'autre..." あたりをオススメしたいですが,一般的には傑作の呼び声高い "INNAMORAMENTO" でしょうか。

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ライヴでの機材セッティング

 今日は,ギタリスト以外にはまるで意味のない話題です。
 
 ライヴをやってると,不思議なことに,僕程度のプレイヤーであっても ときおり使ってる機材を訊かれることがあります。 で,先日のライヴでも,終わった後「それはなんですか?」的な質問を受けたりしたので,調子に乗って(←すぐ図に乗る(^^;)メモがてらちょっと書いておきます。
 
 ライヴのたびに少しずつ違うことを試しているんですが,先日のセッティングはこんなでした。
 
   ギター(エレキorエレアコ)
    ↓
   チューナー
    ↓
   ブースター
    ↓
   コンプ
    ↓
   ディストーション
    ↓
   マルチ ←MIDIペダルでパッチ呼び出し
    |  ←Expression pedal
    ↓
   A/Bボックス
    A↓   ↓B
   アンプ ライン
 
マルチは,基本的にワウと空間系エフェクトに使ってます(歪み+ワウというシチュエーションがなかったので,この順番で迷う必要がなかった)。
 
 実は,ここまでたくさんつなぐのは初めてでした。 おかげで足元が要塞状態(^^;。 それにしても,本人的には,今回はかなり凝った仕掛けだと思っていたんですが,こうやって書いてみると,数は多いけど奇異なところはあまりないですね。 ある意味,ちょっと残念かも(^^;;。
 
 今回のセッティングでひと工夫あるのは,(エレキとエレアコを持ち替える必要があったので)エレアコのときだけライン出力にするための A/Bボックスを最後にかませてあることでしょうか。 この A/Bボックスが僕の手作りモノなので,ボードに入れてると「なんだありゃ?」と思われちゃうようです。
 あと,Expression pedal の範囲設定を使って,1つのパッチの中でクリーンとワウを行ったり来たりできるようにしてましたが,この辺は,エフェクト使いなら「おお,やってるな」と思ってもらえる部分じゃないかと。
 
 持ち運びの問題もあるし,もともと自然な感じの音が好きなので,機材はなるべく減らしてシンプルに……と思っているんですが,なかなかそうならないですね〜。
 ちなみに,実際の機種とか使ってみての感想とかの細かい話は本家のほうに書いてます。 書いたはいいけどあまりいい評判を聞かないもんで,消そうかと思ったこともあるんですが,僕自身エフェクタを選ぶときにネット上のいろんな情報を参考にしてるので(もちろん,最終的には自分で音を出して決めるけど),恩返しというか,何らかの情報提供になればということで残してます。 (評判ばっかり気にしだすと,何も書けなくなっちゃいますしね〜。)
 なんやかやとゴタクばっか並べやがって,ちっとも音に反映されてないぞ!という声もあるでしょうが………分かってるっちゅーねん!  じゃなくて,ハイ,精進しますです(ペコペコ)。

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2007年のベスト [2/2: 音その他編]

 いよいよ年の瀬っぽくなってきました。 2007年のベスト第2弾,今回は音楽その他部門です。
 
[CD部門]
"NEW FAVORITE" Alison Krauss + Union Station
New_favorite ということで,今年は僕にとって Alison Krauss の年でした。 この Blog で採り上げたのは,"A HUNDRED MILES OR MORE: A COLLECTION", "LIVE" の2作品でしたが,結局,年間を通してみると,アルバム全体を一番よく聴いたのはこの "NEW FAVORITE" だった感じで,だから,アルバムとしての比較でムリヤリどれか1つ選べと言われたら……ということで,これを挙げておきたいと思います。
 以前の記事でも書いたように,彼らの音楽は,ブルーグラスに軸足を置きながらも,他ジャンルとの融合,つまりはもとの意味としての「フュージョン」と言って差し支えないのではないでしょうか。 大人のブルーグラス・フュージョンという感じです。
 ライヴDVD でも冒頭を飾る1曲目の "Let Me Touch You For Awhile" で見せる振幅の大きさや空気感といい,切なさ漂う "I'm Gone" の美しさといい,まさにパーフェクト! Alison Krauss の抑えた声の美しさはスタジオ盤ならではです。
 
 その一方で,今年出た "A HUNDRED MILES OR MORE: A COLLECTION" のほうは,寄せ集めだからアルバム全体としてのまとまりはないけど,しかし,一部の曲には抵抗不可能なくらいの魅力があります。 こちらも捨てがたい。 ……それにしても,Robert Plant とのデュオ・アルバム(異種格闘技戦というか,何というか)が出る展開にはビックリでしたが。
 
 
[ライヴ部門]
Tower Of Power at Blue Note Tokyo
 ということで,ベストライヴには今年も Tower Of Power を挙げておきたいと思います。 個人的な今回の目玉は,なんと言っても Bruce Conte (g, vo) の復帰でした。 初日の 1st,僕(と某バンドのベーシスト)は,首尾よく Bruce Conte を真正面に見る位置に陣取ることに成功したんですが,そうやって期待満々で見た彼の演奏は,期待を楽々と上回るものでした。 いや〜〜,まさにグレイトです。 加えて,近年やや手薄ぎみだったコーラスワークも,彼の復帰で改善されたように感じました。 もちろん,バンド全体の演奏も素晴らしく,Larry Braggs の歌も冴え渡り,大満足の初日になりました。
 
 しかし,残念ながら,Bruce Conte は完全復帰ではなくワンポイント・リリーフだったようです。 前任ギタリストが短期間で急遽クビになった顛末については David Garibaldi (dr) の Blog "David Garibaldi's Travel Blog" で述べられていますが,突然開いてしまった穴を埋めるために Bruce Conte に協力してもらったのかも知れません。 最近になって,また新しいギタリストに替わっています。
 
Incognito at Motion Blue Yokohama
 Tower Of Power のすぐ後に観た Incognito,今回は vo 3人・管楽器1人・key 1人・percナシという,彼らにしては小編成でのライヴだったんですが,内容は極めて充実してました。 正直言ってしまえば,このところの彼らのライヴの中ではベストだと思いました。 小編成のせいか音楽全体の見通しがよくなったような気がしたし(と書くと,なんかエラそうだな(^^;),メインで歌った Imaani の上手さはもちろん,もう1人の女性vo(名前は失念)の熱演もすごかった。 Richard Bailey (dr) がよく見える場所に座ったので,彼のプレイぶりも堪能できました。 ……それにしても,Bluey は,ますます自分では演奏しなくなってますね〜(^^;。
 
 
[展覧会部門]
モネ展(国立新美術館)
 今年もポツポツ美術館・博物館をのぞきに行きましたが,(某ギャラリーで友人の個展があったのを別にすれば)一番楽しかったのが春ごろに国立新美術館で行なわれたモネ展でした。 混雑もそれほどではなくゆったり観れたし,内容的にも充実していて(新美術館開館記念ということで企画的にも気合いが入っていたのかな),いい時間をすごせて,ホント満足しました。 近年観た展覧会の中でも,いちばん満足度高かったかも。
 それに対して,「これ!」って感じの大きな目玉が1点あるような展覧会は,トータルでは「………」という感じになりがちだったような気がします。
 
 あと,別の意味で面白かったのが Bunkamura で開催された「ルドンの黒」で,けっこう混み合っていたにもかかわらず,あの Bunkamura ザ・ミュージアムの中がシーーンと静まりかえっていました。 内容が内容だけにそうなったということでしょうが,あれもなかなかいい体験でした。
 
 
[自分のやったライヴ部門(自爆)]
Antica at GUILTY
 2年半あまり在籍した Antica での最後のライヴ。 個人的にはミスもあったけれど,リズム面ではこれまでで一番「手ごたえ」みたいなものを感じられたライヴでした。 もちろんそのおかげとまでは言いませんが,バンド全体としてもいい演奏になったし,来てくれた人にも楽しんでもらえたのではないかと思ってます。 去年のあまりの慌ただしさが背景にあって,迷った末に辞める決断をせざるを得なかったんですが,この日の「手ごたえ」でその決心が更に大きく揺らいだことはナイショです。
 
(次点)Trompe L'oeil at Shibuya PLUG
 ベストな演奏をしたとまでは思ってないんですが,このバンドの1つの特徴とも言うべき(?)難易度の高い選曲を,これまででは最も気負わずにやれた……という意味で「よかったかな」と。 個人的にチャレンジだと思っていた部分もそれなりにこなせたし。 ……ただし,そういう僕個人のありようがトータルとしての音楽の出来に反映していたかと言うと,これがまあ,ハッキリ言ってまったく評価されずむしろその逆だったわけなんですが(^^;,ごくパーソナルな自分の中での「よかった感」という意味で,ここに挙げとこうかな,ということで。 ……それにしても,自分の実力不足が痛感された1年ではありました。 来年はもっと楽器を触る時間を増やしたいところです。
 
 それはそうと,自分が仕切ってるバンドだと,全体の仕切りのほうに気がいっちゃうのか,はたまたどこか妙な気負いがあるのか,どうも演奏面では煮え切らないことが多いですね(^^;。 とはいえ,秋のライヴでは(ようやく!)なんとなくペース配分が分かってきたような気がしたので,少しはいい方向に向かっている……と信じたいところです。
 



 ということで,2007年のベストはここまでです。 来年も面白いことがたくさん起きることを願ってます。

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