2010年のベスト (2/2)
ということで,2010年のベスト,後半です。
[印刷物部門]
◎ 科学と神秘のあいだ(菊池 誠,双書Zero)
このBLOGでも紹介したことのあるきくちさん(阪大)のエッセイ集。 物理学者の書いたエッセイというだけで大半の人は逃げて行っちゃうのかもしれませんが,難しいところはなく,そもそも物理の話でもなく,きわめて読みやすいエッセイが並んでいます。 ところで,全然関係ないことですが,僕は多くの人から,冷静・冷ややか・理屈っぽいなどと言われたりします。 そうした評価には,まあシチュエーションにも依りますが,概ねネガティヴなニュアンスが込められているようです。 端的に言えば「人間味がない」ってヤツでしょうね。 こういうのは周りから見てどうなのか?というのが重要で,自分から「いや,オレは人間味にあふれている!!」などと力んでみてもしょうがないわけなので(っつーか,そんなことを自分で言うヤツがいたら,あんまり関わりたくないかも (^^;),まあ,みんなが言うなら多分そのとおりなんだろうなと思ったりします。 ……で,きくちさんに面識があるわけではないので,どういう方なのかは知らないし,勝手に同類にされてもハタメーワクなだけでしょうが,物理学なんかやってる人となると,同じような方向の先入観を持たれそうだな……という気がしたりします(←僕の偏見かもしれませんが,たぶん,そうでもないでしょう)。 いわく,「世の中,リクツだけじゃないんだよ!」ってなわけです。 またまた同列に扱うのもなんですが,僕にしろ,物理学者の人にしろ,多かれ少なかれ「(いわゆる)人間的」な部分はあるし,いろんな感情も持っている。 というか,科学者の「(いわゆる)リクツ」に代表される科学的な見方・考え方は,むしろ訓練によって身に着けてきている部分も大きいと思います。 この本は,そのような多少なりとも偏見にまみれた「リクツ」の部分と,それでは割り切れない「感情」の部分を,科学者と言われる人たちがどのように折り合いをつけて日々を過ごしているのか? ……そういったところを垣間見せてくれる興味深い文章が並んでいます。 軽い読み物だし,しかも一読の価値アリと思います。
この本については「科学と生活のイーハトーヴ」の秀逸なレビューがあるので,そちらもご覧ください。
○ 代替医療のトリック(サイモン・シン, エツァート・エルンスト,新潮社)
上の「科学と神秘のあいだこの本は今後「代替医療」を考えるときに,まず押さえておきたい「リファレンス」みたいなものになるのではないかと思います。 代替医療に興味あるかたは,まずは一読をオススメします。
世の中,妙なものを勧めてくる人は多いし,それらの中には,本当に「よかれ」と思ってそれを勧めてくる場合も少なくありません。 もちろん,「善意で勧めている」ことが必ずしも免罪符にはならない。 むしろ,善意で勧めていることが分かるだけに,断りにくいなんてこともあります。 こと「代替医療」に関する限り,この本を読んでおくことは,そういったものに対処するときの基本的な態度を作るうえで役に立つのではないかと思います。 お手軽ではないなどと脅かしといてなんですが,興味ある人はもちろん,(僕の本音では→)普段こういう本を読まない人にこそ,ぜひ読んでほしい1冊です。
[映画部門]
(次点) キック・アス
去年は映画自体あんまり観なかったのでした。 で,観た中ではこれですね。 ヒロインのあまりにカッコイイアクションシーンが語り草になっているようですが,そういうこと以前に,とにかく話の着想の時点で「ワザアリ」なわけで,失笑モノのギャグや無駄にグロいシーンなども交えつつ,でも,一人の少年の成長譚として良くできていると思いました。 かつて変身ヒーローものに心熱くしたことがある人なら,見て損はない映画でしょう。[BLOG記事部門]
◎ 「井上俊彦のメディカル・イーティング」に学ぶ情報商材のノウハウ (NATROMの日記)
2010年もネット上の文章をたくさん読みましたが,上で書いた本,それから他に読んだいくつかの本を加えて考えても,この記事,というより,この記事の最後の「まとめ」の,特に最後の段落は,去年一番強く印象に残った文章かも。 まだ読んでないかたは,ぜひ一読をお勧めします。
[(番外) 2010年のワースト]
2010年もミュージシャンの訃報があれこれありましたが,その中でも,個人的に最もショッキングだったのは,Little Feat のドラマー Richie Hayward の訃報でした。
以前も書きましたが,Little Feat の再結成後の来日公演は,僕のこれまでのベストライヴの1つです。 強者揃いのメンバーの演奏は期待を遙かに上回るものでしたが,その中でも,Richie Hayward が見せるその時々の閃きと,それを強引なまでのノリで体現して聴き手をねじ伏せる強力さは圧巻でした。 僕はそれなりにいろんな有名ミュージシャンのライヴを観てきましたが,ナマで観たドラマーの中で「天才」という言葉に最も近いのはこの人だろうと思っています。 合掌。
ちなみに,Little Feat は,女性voの Shaun Murphy も 2009年に脱退しており,既に新drを加えて活動を続けているようです。




Recent Comments