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Little Feat "EXTENDED VERSIONS"

 Little Feat の旧作('70年代の作品群)が紙ジャケット仕様で再発ということらしいですが,そのことが朝日新聞の記事になっていたのにはちょっと驚きました。 (それにしても,近年の紙ジャケブームは一体なんなんでしょう?)
 
 Little Feat は先ごろまた新たなライヴ盤を出し,活動意欲はとどまるところを知らないって感じです。 ロック界に再結成バンドは多いですが,中でもここまでコンスタントに走り続けているバンドはちょっと見当たらないのではないでしょうか。 ヴォーカリストに Shaun Murphy を迎えた今のメンバーになってからは,Hot Tomato Records を設立し,そこからスタジオ録音・ライヴ盤・DVD など次々と発表して,ツアーも精力的に行なうなど,見た目のおじいちゃんっぽさ(失礼)からは想像もつかないアクティヴな活動ぶりです。
 
 再結成後の Little Feat は,1999年・2000年と続けて来日しました。 僕は2年とも観に行きましたが,何と言っても 1999年の川崎Club Citta' でのライヴは素晴しいものでした。 「この機会を逃したら,次があるかどうか分からない」と思って駆けつけたファンで会場はギューギュー,その熱気に応える Feat の覇気のある演奏でひたすら盛り上がりまくり,大興奮状態になりました。 これまでいろんなライヴを観てきましたが,あの日ほど,客とバンドが一体になって幸福な時間を過ごした現場にいあわせたことはないように思います。 ビシバシ歌いながら前列の客と握手していた Shaun Murphy のところに,後ろから客の頭上を手渡しリレーして赤ん坊が送られてきて,Murphy がビックリしながらその赤ん坊と握手したこと,アンコールが終わっても一向に鳴り止まない拍手と歓声に導かれて "Old Folks Boogie" が始まると,僕の後ろに立っていたオニイチャンが(興奮でどこかのネジが抜け落ちてしまったらしく)曲の間ずっと「いいぞ〜〜〜っ,いいぞ〜〜〜っ」と叫び続けていたこと,終わって会場を出る人たちが(僕も含め)みんな満足し幸せそうだったこと,……など,印象的な場面のあれこれが,今でも思い出されます。
 僕自身は Lowell George 存命時の Feat に生で接することはなかったわけですが,Little Feat は今でも,Little Feat でなければ創りえない音楽を創り続けています。 昔と比べてどうとかいう以前に,その無二のスタイルの音楽が今でも生み出され続け,今でもライヴで接することが出来るということの素晴しさを讃えたい。
 
Extended さて,その Little Feat のライヴ音源といえば,真っ先に挙げるべきなのは,'70年代の彼らの,まさに必聴の名盤 "WAITING FOR COLUMBUS" ということになるでしょうが(今回の紙ジャケ再発についても,僕は,どれか1つ推薦しろと言われたら,このライヴ・アルバムを挙げるだろうと思います),再結成後に話を限れば,まずは故 Neon Park に捧げられた2枚組 "LIVE FROM NEON PARK" ということになるでしょう。 しかし,今日僕が採り上げるのは,ややマニアックな1枚,意外な掘り出し物とでも言うべき "EXTENDED VERSIONS" だったりします。
 
 この "EXTENDED VERSIONS" という作品がどういう経緯で発表されたのか,よく分からないんですが,妙に安い価格設定,メンバーの写真がジャケットに使われていることなど,もしかしたら,もともとは何かの企画モノか非正規盤だったのかと思ってしまいます。
(よく知られているように,Little Feat のアルバム・ジャケットには,2nd の "SAILIN' SHOES" 以降,一貫して Neon Park の手によるイラストが使われ,「Feat のアルバム」イコール「Neon Park の奇妙なイラスト」というほど,両者は切り離せない関係にあります。)
 曲数も10曲に絞られており,曲と曲との間に連続性は特にありません。 どういうつもりで作ったアルバムなのか,全く謎です。
 
 しかし,その存在の不思議さとは裏腹に,収録された演奏は素晴しいものです。 "LIVE FROM NEON PARK" が再結成後の彼らのライヴの全体像を示すショーケースだとしたら,こちらは,その中でも彼らのホットな側面だけに光を当てたような内容になっていて,活きのいい演奏がこれでもかと続きます。 音のほうも,バランスはいまひとつの場面もあるものの,サウンドボードから直接取ってきたかのような雰囲気で,ライヴそのもののように,図太く荒々しく,疾走感があります。
 しかも,"Sailin' Shoes","Fat Man In The Bathtub" といった定番曲もさることながら,再結成後の曲の充実ぶりに耳を奪われるのも,このアルバムの素晴らしいところでしょう。 Fred Tackett (g) をフィーチャーした1曲目の盛り上がり,そして,個人的には,"Hate To Lose Your Lovin'" が収録されてるのもポイント高いです。 Feat の復活を告げたアルバム "LET IT ROLL" の冒頭を飾るこの曲,"LIVE FROM NEON PARK" ではアコースティック・コーナーの中の1曲という位置づけの演奏だったので,本来のアクの強いエレクトリック・ヴァージョンでのライヴ演奏は「待ってました!」と言いたくなります。 Richie Hayward のうねるような強烈なドラミングといい,その上を縦横無尽に飛び跳ねるBill Payne のピアノといい,ライヴでいよいよ本領発揮って感じです。
 
 まあ,良くも悪くもわりと荒っぽい音なので,Little Feat のライヴ・アルバム自体を聴いたことのない方は,まずは黙って "WAITING FOR COLUMBUS" と "LIVE FROM NEON PARK" を聴いてくれ!という感じですが,それらはもう聴いて,更に次を,という向きには,"EXTENDED VERSIONS" は(たくさん出ているライヴ音源の中では見過ごされがちなんだけど,実は)意外といい選択かも知れません。 特に,ライヴならではのホットさを求める人には,聴いて損にはならない掘り出し物です。 いかがですか?(→誰となく)
 
 
 
[蛇足]
ちなみに,以前のCD版 "WAITING FOR COLUMBUS" はアナログ・ディスク版(2枚組)よりも曲数を減らして無理やりCD1枚に収めていましたが,今回の再発は後年になって出た "DELUX EDITION" のようで,アナログ・ディスクに収録されていた全曲に加えて,アルバム "HOY-HOY!" などに分割収録されていたテイクも収められています。 アルバム全体の構成としては,正直なところアナログ2枚組が一番という感じなんですが(もともとそのつもりで構成されてたわけだから当然か),その実,追加収録曲も見逃せません。 Tower Of Power Horns を迎えた "Skin It Back" なんか,最高!です。

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