Saki Kubota Singles
突然ですが,「Saki Kubota Singles」というのが出ていたんですね。 知らなかった。 ……ということで,最近になって購入しました。
久保田早紀のシングルA・B面を全て収録したCDなんですが,同様のものとして既に,「GOLDEN J-POP /THE BEST 久保田早紀」があったので,ちょっと「今さら」感がないでもありません。
一応,今回の「Saki Kubota Singles」の主なウリは,
- 久米小百合名義でリリースされたシングル「百万本のバラ」の初CD化。
- 全曲デジタルリマスター。
- フェアウェル・コンサートの模様を収録した DVD 付き。
ちなみに,リマスターの効果ですが,これは確かに違います。 第一印象では(比較の対象として念頭にあるのは「GOLDEN J-POP /THE BEST」ではなく,各曲のオリジナル・アルバムのほうでの音です)特に初期の曲で違いが顕著で,リマスターによって音が太く生々しくなり,エネルギー感が増しています。 特にヴォーカルの存在感が大きくなって,歌が前に出る感じです。 反面,微妙に歌と演奏のバランスが変わったことによって,残念なことに,一部ではありますが相対的にバックの演奏が引っ込んでいるように聴こえるところもあったり,子音が上に突き抜けるような歌の透明感はやや後退した感じもします。 基本的には決して悪くないリマスターだと思うし,歌声だけを重視する人にはリマスター版のほうが文句なくいいですが,全体のサウンドを聴く人には微妙なところもありますね。 ……って,ちゃんとスピーカーで大音量で聴いたら,この印象も変わるかもしれませんが。
この「Saki Kubota Singles」,いわゆるベスト盤の代わりに買う人もいるのでしょうが,改めて収録曲を眺めると,やっぱりシングル・コレクションではベスト盤にはならないよな〜,というのが正直な感想です。 個人的な意見としては,久保田早紀のベスト盤的なものを買うなら,むしろ「久保田早紀 GOLDEN☆BEST」のほうをオススメしたいです……シングルにならなかった良い作品もそれなりに拾われているし。
余談ですが,最近「シングル・ヒットの寄せ集め」的なアルバムが必要以上にもてはやされてるような気がします。 確かに,「共通の話題にしやすい」といった要素はポピュラー音楽では無視できない面もあるわけで,世に出回った曲にお気軽に触れられるという点で,そうした「寄せ集めアルバム」に一定のニーズがあるのは理解できます。 加えて,iTunes Music Store の登場以来,「“アルバム単位” から “1曲1曲” への解体」という流れになっているという時代背景もありますし。
とはいえ,「シングル盤にはなりそうにない,でも,いい音楽」や「(アルバム全体の)流れの中で輝く曲」というのも確実にあります。 問題は,そういった音楽の存在場所をどうやって確保していくのか……というところかもしれません。
例えば,今回採り上げた久保田早紀で言うなら,1st アルバム「夢がたり」収録の「ギター弾きを見ませんか」などは,およそシングル・カットがありえないタイプの地味な曲なんだけど,僕の周りで「夢がたり」の話を出すと必ず話題にのぼる曲でもあったりします。 曲の良さとアルバムの中で占める位置とがあいまって強い印象を残しているように思えるわけですが,こういったタイプの曲が今後生き残るにはどうするのが良いのか? “アルバム” ではなく “プレイリスト” みたいな方向が鍵を握るのでしょうか?
話を元に戻して,「Saki Kubota Singles」の付属DVD ではフェアウェル・コンサートの映像の一部が紹介されているようです(買ったはいいけど,まだ観てない (^^;)。 で,このフェアウェル・コンサートの映像ですが,先ごろ,完全版DVD(コンサートまるごとではないかもしれないけど)というのが限定で発売されたようで,既に品切れだそうです。(´・ω・`) ……う〜む,後期の3作品(「ネフェルティティ」「見知らぬ人でなく」「夜の底は柔らかな幻」)といい,今回の DVD といい,プレス即品切れという状態なんだから,もうちょっと何とかして欲しいんだけどな〜。
ネット配信がもっと進めば,こういうメジャーとは言えない過去の資産が手に入るようになる日が来るのでしょうか? 原理的には,データとしてシステムの中に一旦準備しておけば,流通の手間をかけずに多彩な需要に応えうると考えれられるわけで,個人的には,実はこの点こそがネット配信の持つ可能性のなかでも非常に重要な部分だと思っているんですが。
[補足]
最後に述べたネット配信の可能性については,例えば「団藤保晴の記者コラム『インターネットで読み解く!』」の記事「音楽産業は自滅の道を転がる」でも述べられています。


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