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「100匹目のサル」その真相

 奨学金の返済が終わって,当時一緒に奨学金を受け取っていた友人と祝杯をあげました。 借金もなくなり,まずはめでたい。
 
 
lifetide と,全然話は違いますが,「100匹目のサル」(あるいは「101匹目のサル」とも言われている)という有名な逸話がありますね。
 で,この話が捏造(というか創作というか)であることも,これまた良く知られた話……と思いきや,あまり知られてないようです。
(左図は,「100匹目のサル」の話が初めて登場したライアル・ワトソン (Lyall Watson) の「生命潮流 (Lifetide)」。)
 
 ちなみに,この記事を書き始める前に,試しに Google で検索したところ,面白いことに,検索語が「100匹目のサル」だと,上位には,割と冷静にこれが作り話だということにも言及している(らしい)ページが,これを素晴らしい実話と思い込んでいる(らしい)ページと同じくらい(か,むしろ作り話派のほうが目立つくらい)ヒットするのですが,検索語を「101匹目のサル」にすると,途端に “素晴らしい実話と誤解派” がほとんどになってしまいます。 「101匹」として広めたおおもとが存在しそうですね。 誰なんだろう??
 
 それはともかく,最近よく紹介してる(というより,ネタ元にさせてもらってるというべきか)「幻影随想」の記事「『100匹目のサルのウソ』はいかにして暴かれたか」に,作り話とバレて否定されるに至った経緯が(その情報ソースも明らかにした上で)書かれています。 なんと,この話を広める主力となったニューエイジ系の内部にいる人がちゃんと文献をあたった結果ということのようで,なかなか興味深い話です。
 
 発信源である Watson 自身も後に「(あの話は,事実ではなく)メタファーだ」と語っているということで,そのことがこの本に載っているそうです(←これはさすがに未確認なので伝聞形)。 まあ,日本語ならまずこれを読めばって話もありますね。
 「幻影随想」でも紹介されていますが,ネット上だと「忘却からの帰還」でもこの件が取り上げられていて,Watson が reference として挙げている文献 (M. Kawai (1965)) がどういうものであるかということがこの記事に,更に,Ron Amundson (University of Hawaii at Hilo) による批評 "The Hundredth Monkey Phenomenon" (1985) の翻訳がこの記事に,それぞれあります。 僕が知る範囲では,ネット上で読める日本語情報としては,この辺が一番 "源流にさかのぼった" ものと言えるでしょう。
 
 ……なんと言うか,この手の話は,最初から「おとぎ話」として語るならまあまあ面白いのかもしれないんですけどね。 おもてむき客観的事実のような顔をしていることが罪深さを倍増しているわけで。
 と,こんなことを言うとときどき,「面白い話なんだから,ウソだとかホントだとか,そんなことどうでもいいじゃん」的なことを言う人がいますが,僕はそうは思いません(って,先日もそんなことを書いたな(^^;)。 この逸話が,宗教系の人・ニューエイジ系の人やあるいはオカルトがかった方々によく使われるものであることに注意を払うべきです。 そういった人たちの説自体の是非はひとまず措いときますが,彼らが「100匹目のサル」の話を自説を補強する根拠として用いるとき,それを作り話だと知っているかどうかで,聴き手が感じる説得力には天と地ほどの違いが生じるのではないでしょうか。
 
 好みの問題かもしれないけど,少なくとも僕は,こんな「おとぎ話」に耳を傾けるくらいなら,復活再放送が決まった「まんが日本昔ばなし」にチャンネルを合わせるほうを採ります。 それも大急ぎで,です。

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Comments

はじめまして。100サルの話題、最近結構目にします。オウムの記憶も薄れて、またニューエイジ思想に免疫のない人が増えているんでしょうか?
ところで、結びの文章はアジモフでしたっけ?

Posted by: take_14 | September 07, 2005 at 10:49

take_14さん,こんにちは。
「増えている」のかどうかまでは分かりませんが,少なくとも,「100匹目のサル」について事実関係を知らない人がまだまだ多い,ということは確かなようですね。 この手の話の場合,真相というのは特に面白いものではなかったりするわけなので,広まりにくいんでしょう。

結びの文は,ご指摘の通りアジモフです。(僕は,別の記事で,敢えて日本の慣習にならってアシモフと表記しちゃってます。)
彼が,ヴェリコフスキーの「衝突する宇宙」を批判したときの文章の最後の部分ですね。
分かる人には文章の意図するところがオーバーラップして感じられるだろうと思って,……というか,単に茶目っ気を出したい誘惑に勝てなかっただけという話もありますが。(^^;

Posted by: JUN-K | September 07, 2005 at 23:44

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