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Next Targetか・・・

 既にあちこちで話題になってますが,造反有理さんの指摘。
社団法人日本レコード協会「日本のレコード産業2002」に以下のような文面があります:


今年度、日本のレコード産業が取り組むべき主な課題は以下のとおりです。

(中略)

    3. 立法化への対策
      ◎公衆送信権の創設
      ◎輸入権の創設
      ◎中古CDの流通に関する法整備

ということで,次なるターゲットは中古盤に関する「法整備」という可能性が高いと予測されるわけです。「法整備」って何だ?と考えると,これまでのレコード業界がやってきたことから察して,ある種の「規制」の導入ってことになると言う見方が専らだし,僕もそれを懸念します。
 聞きかじりの知識しかないのであまり深い議論は出来ませんが,「規制」って言っても,アメリカのファースト・セール・ドクトリンなんかの方向性を考慮するなら,あまりとんでもない内容には出来ないだろうと思えないこともありません。でも,同様の原則は日本では未確立だし,更に言えば,先日の輸入権導入だって,かなり「ズル」して捻出した論拠を無理やり通してるわけだし,ホントに何が起こるか分かりません。要厳重監視!ってところでしょう。
 こういうことや,勿論CCCDや輸入権のゴリ押しや,高橋健太郎さんのBLOGに時々ほのめかされている「(略)何かもう、憤るというよりは、 こっちが情けなくなるような話だった。それじゃあ、会社 に活力なんてなくなるよ、という。」といった断片・・・などなど,最近レコード業界についての話題は,聞いてて悲しくなるような(または怒りを感じるような)ものばかりです。いち音楽ファンとして,こんな情けないことはない。僕たちは音楽そのものの話で盛り上がりたいのに。不自由なことばかりをセッセセッセと増やしまくって,いったい何をやってるんだろう。

 少なくとも,世界で唯一のCD再販制の上にあぐらをかいてるんだから,中古盤がどうこう言うくらいなら,一旦リリースした音源は絶対に廃盤にすることなく,正当な入手経路を必ず残しておいてもらいたいですね。エラそうなことを言うなら,例えば Minako Obataさんの全アルバム再プレスや古家杏子さんのCD化をしてから言ってくれ・・ってな感じです。
(ちなみに,Minako "Mooki" Obataさんは,ファンの声に後押しされて自分の作品の再プレスをレコード会社に直談判しに行ったことがあるそうですが,全く相手にしてもらえなかったそうです(本人談)。Adlib誌のベストレコードになった作品でも,そんな扱いなんですね。)

 CCCDについては,僕は基本的に買わない主義ですが,間違えて買ってしまったことはあります(それ以来,気をつけるようになりました(^^;)。それを再生して特に不具合が出たということもありませんでしたが。
 僕がCCCDをキライな理由はいくつかあって,内容的にはどれも既にいろんな人が指摘してることばかりなんですが,ここで改めて強調しておきたい1つの要因は,「いい音を追求する姿勢に反している」ということです。
 「何を甘っちょろいことを」と言われるかも知れませんが,少なくとも,音楽を録音したものを売って商売してるのなら,基本的なところで「その音楽を,最高の状態でリスナーに届けたい」という姿勢を持っていて欲しいのです。それがたとえポーズであったとしても,「音には妥協しない」態度を貫いて見せて欲しいのです。"Respect Our Music" なんて言うならなおのことです。それが業界のプライドというものではないでしょうか。その姿勢を自ら切り崩したレコード会社を信頼しろなんて,僕に言わせればムリに決まってます。そんな態度を認めたくないんですよ。
 C堂さんの労作「C堂CCCD特集」に見られる吉田美奈子さんのコメントのように,個別にはいろんな事情があることは承知しているつもりですが,それでも,全体として,業界自ら音楽録音物の根本であるはずの「音」の価値を軽視したという印象を拭うのは困難です。・・・アホかい。それが音楽を愛するもののすることかい。

 レコード売り上げは落ちているそうで,そのことについての分析も各所でなされていますが,レコード業界全体として見た場合に,僕が重要と思うのは,小倉秀夫さんが折に触れ指摘しておられる次の点です。


(前略)国民が1つの作品に触れるために支払わなければならないコストを上昇させても、国民が芸術・娯楽作品に触れるために費やすことができる金額の総額が大幅に増えることが期待できない以上、現在のクリエーターの収入を大幅に増大させることには繋がらない。国民が触れることができる作品の数を大幅に減少させるだけである。したがって、推進計画に掲げられている、国民が1つの作品に触れるために支払わなければならないコストを上昇させるための諸政策(書籍・雑誌に関する貸与権の創設、レコード輸入権の創設、中古品売買の規制等)は、中長期的な「知的財産創造のサイクル」を崩壊させる、極めて愚劣な政策であるといえる。

 
 僕は,(少なくとも日本において)音楽そのもののために消費行動を起こすことを厭わないような音楽愛好家は,それほど多くないのではないかと思っています。今,僕たちの生活の周りでは,町を歩いていても,店に入っても,テレビをつけても,いつでも音楽にあふれているわけで,多くの人は,自発的にそれ以上音楽を聴きたいとか,いい音楽を探しに行こうとか思わないのではないでしょうか。特に,テレビなんかは(JASRACへの支払いが一括払いだから使わにゃ損とばかりに)ドラマだろうがバラエティだろうが音楽使いまくりで,加えて,CMでも音楽,スポーツイベントにはテーマ曲・・ってな調子で,それらだけでもうお腹いっぱいになってもおかしくない。そうやって,ただでさえ無料で聴こえてくるものだけで十分(しかも,それらはつまんないものも多い)である上に,今は他に金をかけたくなる娯楽がいっぱいあるわけで,使える金額が限られている人にとって,音楽の優先度が下がるのは仕方ない面もあるだろうと思うわけです。端的に言えば,携帯料金とCDと,どっちにお金使うか?って訊かれたら,「携帯」って言う答えが多くても仕方ないかな・・・と。
 こういう状況のときに,レコード業界がとるべき方向はもっと違うものであるべきなのではないかと思うのです。音楽は「娯楽の王様」なんて思ってないで,音楽をホントに好きな人を大切にした上で,将来の音楽好きを育てる方策をこそ打ち出していく必要があるはずです。あぶく銭を生み出す浮遊層をメインターゲットにすることばかり考えて,コアな音楽ファンを軽視していては,未来はないでしょう。

 実のところ,学習院大学桜井教授が知的財産訴訟検討会で述べたというコメント「失敗して滅びるのは産業界ですので、まあいいかという気持ちもないでもないのです。」に似た気分になってきているのも事実だったりします。「それではいけない」と思いたいのですが,あまりにも後ろ向きな動きばかりが続くのは・・・なんとかならないもんでしょうか。

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